今回は、ボデーショップが自動車補修の板金塗装作業用に使うUV照射器を選ぶためのポイントを詳しくお伝えしたいと思います。
 なお、UV照射器には水銀灯やHIDランプを用いる機種(いわゆる水銀タイプ)とLEDライトを用いる機種が有りますが、省エネ性・作業効率・環境保護・ランニングコスト等の様々な観点で水銀タイプよりもLEDタイプが圧倒的に優位なので、LEDタイプを前提としてのご紹介となります。

 UV照射機の選定において重視すべきは「作業性の良さ」ですが、「作業性の良さ」には「照射能力(作業時間や硬化に必要な時間の短さ)」と「使いやすさ」の2種類があるといえます。

照射能力

 作業性に直接関連してくるのが照射能力ですが、照射能力と言っても、照度・照射エリア・照射面の形状・照射の均一性等、見るべきポイントはたくさんあります。

照射能力その1:【照度】

照度には、照射面積全体での平均照度と、一番強い点での照度を示すピーク照度があります。
殆どの照射器が塗料硬化に最低限必要な平均照度を確保していると思いますが、可能であればデモンストレーションやレンタルサービス等を利用して、購入予定の照射器を一度試してみるのが無難です。

照射能力その2:【照射面積】

照射面積は、大抵の場合はカタログに掲載されていますのでチェックしてみてください。

ただし注意したいのは、照射する際の距離と面積の関係です。
LEDの光は指向性が強く広範囲には広がりにくいとはいえ、照射器を遠ざければ、当然ながら照射面積も大きくなります。しかしこれも当然の事ですが、照射器を遠ざければ同時に照度も下がり、硬化能力も低下いたします。

必ず、「必要な照度が確保できる、実際の照射面積」を確認してください。

照射能力その3:【照射面の形状】

照射面の形状は、大きく分けて、四角か丸の2種類になります。
これも照射面積や平均照度、そして硬化対象面のサイズなどによりますが、特に広範囲に照射する際は、照射器をスキャニング(動かしながら照射)する必要が出てきますので、一般的には四角の方が照射時にムラが出にくく使いやすいと思います。

照射能力その4:【均一性】

最後に照射の均一性ですが、これは非常に重要です。
というのも、光が当たっていることと、均一に照射されていることは異なります。
照射面積が広くても、照度にムラがあり必要な照度に達していない部分があれば、実際に硬化に使える面積は限られているといえます。
特にある程度広い面積をUV硬化させたい場合、作業性と仕上がりに大きな違いが出て来ます。

使いやすさ

使いやすさは人により異なると思いますが、いくつかのポイントを挙げておきます。

使いやすさその1:【コードレス(充電式)か有線タイプか】

基本的には充電式がおすすめです。
作業における多くの場面では電源コードを取り外して使える充電式のほうが使用場所や照射場所に対する自由度が高く、手間もかからず使いやすく感じられると思います。
一方有線のメリットとしては、バッテリーや電源ユニットを外部化できるため、一般的に手持ちユニット自体は軽くなる傾向があります。

なお、充電式を選ばれる場合は、バッテリーや照射ユニットの能力にも注意してください。
製品によっては充電量の低下やバッテリーの消耗・劣化により必要な照度が確保出来なくなるものもあり、気づかないうちに照度が低下していて硬化不良等の作業品質低下を引き起こす可能性があります。

使いやすさその2:【タイマー】

ご存じの通り、塗料は必要十分な硬化時間を取る必要があります。
これは短い時間で硬化するUV硬化塗料でも一緒ですので、タイマー内蔵製品をお勧めします。 

タイマーと言ってもLEDのON/OFFと連動したタイマーがついたもの、単純なカウントダウン/カウントアップタイマー単独のもの、時計が付いているだけのもの等、様々あります。
このあたりは好みで選ばれても良いと思います。

なお、規定時間より長く照射しても硬化塗膜に不具合が起こることは基本的にはありませんが、当然ながら使用した分だけLEDやバッテリーが劣化すること、そして短時間で硬化するというメリットが少しではありますが失われることになりますので、やはりタイマーで時間管理される事をお勧めします。

使いやすさその3:【距離センサー】

特に自動車補修の現場では施工部分の面積や形状などは毎回異なるため、距離センサーの有無は好みや作業手順により選ばれてもよいと思います。
一般的に、照射距離を近づければ照射面積は狭くなるものの照度が上がり硬化時間が短縮でき、逆に遠ざければ硬化時間は長くなるものの広い面積を一度に照射できるようになります。
小面積であるUVパテの場合は規定よりかなり近づけて素早く作業される方が多く、サフェーサーの場合はある程度離して広い面積をむらなく照射できるように作業される方が多い様に感じます。

使いやすさその4:【保持スタンド(三脚)の有無】

スタンド(三脚)の有無はそこまで重要ではなく、好みで選んでください。
UV硬化作業は、狭い面積の場合は照射時間が数十秒~数分と短いので、「手で持ち続ける時間や体力」と「施工面にきっちりと照射光が当たるようにスタンドをセッティングする手間」のどちらを優先するかという好みの問題です。
サフェーサーなどの照射面積内に収まらない広さの場合は、上下左右にスキャニングして(動かして)作業する必要があるので、スタンドはかえって邪魔に感じられるかと思います。

まとめ

これからUV照射器を導入・更新されるボデーショップの方、自動車補修担当者様、板金塗装作業者様の向けに、UV照射機選定のポイントをご紹介いたしました。
最後に簡単にまとめると以下の通りになります。

①照射能力
1:【照度(平均照度)】
2:【照射面積】
3:【照射面の形状】
4:【均一性】
②使いやすさ
1:【コードレス(充電式)か有線タイプか】
2:【タイマーの有無】
3:【距離センサーの有無】
4:【保持スタンド(三脚)の有無】

勿論、このような「作業性の良さ」のほかにも、「フォローの良さ」「ご予算」「ご使用の塗料の要求仕様」等、様々なポイントを踏まえて選定されることになると思います。
UV照射機の選定でお悩みのことがあれば、遠慮なくグローバルスズキまでご相談ください!

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